将棋指しとほうき星

「永遠の初級」の称号は私のものよ

家族のこと

私に将棋を教えてくれたのは父だった。オセロや五目並べ、麻雀や花札までも教え、お酒をよく飲む職人肌の人だった。父の膝の上に座っている時に何か辛い物を食べて、水と間違えてお酒を飲んで大泣きしている私を見て、父は愉快そうに笑っていた。

母はよく食べ、よく喋り、よく笑う人だった。気が強く「やられたらやり返せ」とよく言われた。よくこんな明るい人から私のような精神の軟弱な子が生まれたものだ。まさに陽と陰。

姉は1番の理解者だった。私の弱さも悲しみも甘えも、全部受け止めて見守ってくれる存在だった。川の上の石を跳んで遊んでいる時に川ヘビが出て、怖くて動けなくなって泣き出した私を助けに来てくれた勇敢な姉だった。正看護師になり介護士さんと結婚し、今は3人の子の母親になっている。

兄は去年、5年間のアメリカ転勤から無事に帰って来た。見た目も一回り大きくなっていた。私が入院している時、お年玉で買ったゲームボーイを貸してくれ、私はひたすらテトリスゼルダの伝説をやっていた。今も優しく子煩悩で気前の良いおっちゃんになっている。

私の人生の目標は「親より先に死なないこと」。たくさん心配も迷惑もかけてきたから、せめて1番の親不孝だけはしません。地震が来ても事故に遭っても絶対に死なないと決めている。末っ子特有の「言い出したら聞かない性格」は今も健在です。甘えっ子でわがままで泣き虫だった私も、今は何とか独りでたくましく生きているから大丈夫です。

                   りこは