将棋指しとほうき星

「永遠の初級」の称号は私のものよ

指し初め

今年になって初めて将棋教室をのぞいてみる。10人ぐらいいるのでは?過去最高人数では?!もしかして私の作った⭐と動物のかわいいチラシが将棋キッズ達のお母さん方の教室に通わせるハードルを下げた?普及員って呼んでもらって良くってよ。チラシと全然関係ない理由かもしれないけど。

どちらかと言うと「将棋入門編」の教室なので、5年もするとやってくるメンバーがガラッと替わってしまう。強くなってもっと強豪がたくさんいる教室へ通うようになる子、大きくなって勉強や部活が忙しくなってしまう子。一緒に指せるのは今だけかもしれないけど、仲間が増えるのは嬉しい。

そんな初心者キッズ達に一勝一敗で帰って来た。1年生ぐらいの子でも他の対局を覗く時は、なせか手を後ろに組んで少し首を傾けて見る。おっさんか。お菓子のさやえんどうを見つけて「先生これ食べていい?オレこれ好きー」と。将来酒飲みか。

職場の人(50代女性)が麻雀を始めて「面白いよ」と教えてくれた。私の中の好奇心が反応する。子どもの頃、兄弟でお年玉を出し合って買ったドンジャラが今も現役で甥っ子達に遊ばれている。さすがに字や絵が薄れてきてパーヤンは今の時代の子達には「バーヤン」と呼ばれている。まぁ、いいか。

ドンジャラと麻雀は何が違うのだろう。将棋、山登りときて麻雀まで始めてしまったらもはやおっさんではないだろうか。加速するおっさん化。今年はもういっその事おっさんとして生きてゆこうと思う。

おっさんですが本年もよろしくお願いいたします。

                    りこは

指し納め

冬休みだけあって、年長さんから6年生までの8人の男の子が教室に来ていた。この中では「永遠の初級」の称号を持つ私が何と強い方に属する。おーっほっほっほっ、かかってらっしゃい。良くってよ。

1局目、いつもの弟くん。「だってハイチュウがゆずの味しかなかったんだもん」と柚子の香りをぷんぷんさせている。今日もかわええ。年長さんだろうが私はいつだって全力なので勝つ。すまんな。

2局目、初めましての子。初手、左の端歩。…ペチ(あ、こんにちは)。2手目、右の端歩。……ペチ(あ、こんにちは)。礼儀正しい大人のレディなので落ち着いてあいさつを返してみたけど合ってる?初心者だろうが私はいつだって全力なので勝つ。ごめんあそばせ。

3局目、いつものお兄ちゃん。あそこに角がいるという事はここに桂馬を打たれたら歩で取れない。これは「美濃囲いの崩し方」で見覚えがある。しかーし、「美濃囲いの崩し方の防ぎ方」を覚えていないので右上に逃げて負ける。とうとう負ける日が来たわね…。強くなったわね…。遠い目でうなずく。

4局目、初めましての子。「こやつ…できる…!」
先を読んで指してるし、名前がついてそうな囲いができてるし、訳わからなくなったけどかろうじて勝つ。久々に4局も指した。煙が…、私の頭から煙が出ていませんかね…?

お兄ちゃんに無敵囲いを教えてもらう。無敵?!何それかっこいい。将棋のチラシもかっこいい方が良かったかな、と先生に聞くと「これでいい」と。⭐と動物のかわいい将棋教室はこちらです。そんなこんなで1年が終わる。あと1日、よい今年を。

                    りこは

Mt.Fuji

今年の目標の「富士山を見る」は達成できたので、よしとする。近くの山に登って遠〰〰〰くに頭だけ小さ〰〰〰く見えただけだとしても私は富士山を見た。将棋が全く上達してないとしても、詰将棋や腹筋をさぼりっぱなしだとしても、今年も1年生きてきた。それでいいではないか。

二歩突っ切りを復習して将棋教室へ行く。すっかり忘れているものね。6枚落ちを卒業してないけど2枚落ちにしてもらう。2回挑戦して2回とも負けたけど「6枚落ちより強い」らしい。何も考えず覚えた順番に駒を動かすだけで序盤は優勢になる定跡というのはとてもうまくできているのだな、と思う。

自分の頭で考え、自らの意思で駒を動かす中盤、終盤が問題か。よ~く考えた末、先生の失笑を誘うレベルの悪手をペシッと指す私。考えに考え抜きましたが何か?!最初からそこに桂馬いました?!

来年から将棋教室の曜日が少し変更になるらしいので、チラシを作る。「将棋教室のチラシってどこも堅苦しいし難しそう」と常々思っていた大人レディ代表として、⭐と動物を散りばめた私の趣味満載のかわいいチラシにしてみた。先生や将棋キッズの反応は別として自己満足に浸る。カラーコピーは高いので泣く泣く白黒にする。世の中お金だと思う。

                    りこは

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共通の趣味

2ヶ月ぶりぐらいに将棋教室へ行く。行っただけで「よく来た!えらいぞ!」と褒めてくれる先生だけど、久しぶりだったからか「会いたかったぞ!」まで言ってくれた。子どもたちに人気があるのは、こういう所だと思う。

いつかの兄弟が来ている。元気だった?年長さんの弟くんと指す。心の声を全て声に出しながらにこにこ嬉しそうに指している。将棋がすきなんだな、と思う。かわええなぁ。

小学生のお兄ちゃんと指す。「あれ?おれ、詰んでね?」まで教えてくれたけど、私には一手詰が見つけられなくて最後は時間で負ける。強くなってる。気をつかって「おねえさん」と呼んでくれるので、よくできた子だと思う。将来モテると思う。

先生と6枚落ちで指す。やっぱり負ける。お兄ちゃんが「最後の所、きんぞこだったらどうなる?」と。「はっ、きんぞこってあの金底では?!」覚えた事が出てくると嬉しいものね。お兄ちゃんはもう将棋男子の特殊能力「対局の巻き戻し再生機能」が搭載されているではないか。あなたはもう立派な将棋男子よ、と遠い目になる。

久しぶりに人と指すとやっぱり楽しいな、と思う。そして詰将棋大事だな、と思う。おのれ、対局時計め。いつから導入されたんだ。年代性別を越えた仲間との時間が乾ききった私の心を潤す。もうすぐ冬が始まる。

                    りこは

山男子

天気が良かったので富士山が見えるかも、という山に登ってみる。で、どれが富士山ですかね?分からぬ。近くにいた山男子に聞いてみる。「あっちの方なんですけど。岩に登った方が…」とヒョイヒョイっと登ってゆく。何という身軽さ。忍びの者か?!「ちょうど雲に隠れちゃって今日は見えないですね」と。また来るわ。ありがとう。

分からない事は自分で調べるのもいいけど、知ってる人に聞くのもいい。その人を通したその世界を教えてくれる。「日によって大きく見える日がある」「朝早くやもう少し寒くなってからの方が見えやすいかも」と。そうなのか。ありがとう。

「僕は今からあの鉄塔まで行くんですけど」と指差す方を見る。あれですかね?!遥か遠くに小さく見える鉄塔がある。「前回行けなかったんで今日2回目のチャレンジです」と。2週間はかかりそうな距離ですが、夕方までにたどり着くのが目標ですか。何だか次元が違うようね。山登り5段ぐらいですかね?超初級なのに話しかけちゃってすみません。将棋男子もすごいけど、山男子もすご。みんなすご。

将棋の練習と山登りは何となく似てる気がする。孤独で不安の中をさ迷う日もあれば、一緒に楽しめる仲間や導いてくれる人との出会いもある。次はどんな景色が待っているのだろう。私は私のペースで一歩一歩登ってゆく事にする。

                    りこは

ロマンチックと男のロマン

あと2ヶ月でクリスマスか、と思った時に「今年も超人将棋男子たちによる不眠不休の聖なる戦いがあるのか?」がまず頭に浮かんだので、そんな自分がなんだか切ない。最初は「えっ?クリスマスにみんな何やってるの?」と思ったけど、将棋指したちの体力、精神力、集中力が人間離れしてて驚愕した。

間に合わせの相手と見せかけだけの時間を過ごすより、潔く夢も現実も切り捨て一晩中戦い続ける彼らの方がよっぽどかっこよく見えた。「僕はこの瞬間に懸ける…!」その男気が観る者までも魅了した。

将棋男子の驚くべき能力は他にもあって、感想戦での対局の巻き戻し再生機能。あれは記憶力なのだろうか。「ここでこう来られたら厳しかったですね」と、常に相手を立てる低姿勢。丁寧で控えめ。勝っても負けても感情を表に出さない独特な雰囲気の謙虚さがある。

「この局面は見たことあります。たしか○○△△戦で…」とかは「はい?!」となる。Twitter詰将棋が姿を現そうものなら「まず持ち駒を打ちます?」「たまたま見えました」の返信までの間がわずか数十秒。「はい??!!」

彼らの頭の中の構造が謎すぎる。不思議な生物ね。ツリーやケーキやイルミネーションのキラキラわくわくした世界と対照的な将棋戦士たちの世界のクリスマス。その対比がより一層お互いを美しく浮かび上がらせる。

                   りこは 

岩よりかたい金底の歩

「きんぞこ」って読むのね。「きんてい」ちがう。中合いの歩は「ちゅうあい」って読むのね。「なかあい」ちがう。金底の歩は「上げ底のカレー」、中合いの歩は「中辛のカレー」。そんな感じの覚え方でよろしいでしょうか。

攻略本の最終章、「相手の攻めを遅らせる受け」。将棋のテクニックというより、好きな女の子に何とか近付きたい男の子のようだった。まず逃げ道を作られる。またはすでに早逃げされている。ピュ〰💨これは近付く事さえ許されない恋なのでしょうか。

「よし、話しかけてみよう」って所で「ペシッ」と合駒される。「近くまで行けた!」と思ったらはじかれる。さらには攻めに使うはずだった駒を合駒にさせられて決定打を失う。何なのこれ、恋の駆け引きなのかい?

これで攻略本を最後まで読み終えた。「熊は音が出るものが苦手」と知識はあっても実際行動に移せるのか。「あ、熊に出会いましたね。こんな時はこうやって大きな音をね…」って冷静にできるかいっ。知識だけじゃ足りない。そこに経験が加わって少しずつ上達していけるのだろう。将棋も恋も熊もね。

                    りこは