将棋指しとほうき星

「永遠の初級」の称号は私のものよ

金はナナメにさそえ

「ねぇ金さん、こっちで私と一緒に遊ばない?」「ちょっとだけなら///」「ふっ、まんまと引っ掛かったわね」ペシッ!「だっ…だましたな?!ナナメ後ろは、うっ…動けない…、おのれ…」という大人のドロドロした感じのドラマが繰り広げられていたのね。知らなかった。

将棋教室へ行く。秘密の書を半分まで読んだ私は、先週までの私とは違うわよ。と、意気揚々と出掛ける。先生と6枚落ち。確かこんな感じだったはず…ん?あれ?えっ?!あ"ーーーー。将棋の本を読んだからって、飛躍的な成長を遂げていると思ったら大間違いだぞ。その能力を使いこなすまでにはもう少し修業が必要ね。

攻略本のおかげで、ようやく前に進めるようになった。順序やコツや倒し方を「知っている」から、空飛ぶ亀も、土管でパクパクしてるトゲトゲの花も、ハンマー投げてくる強いやつも、華麗にかわしたり果敢に戦ったりできるのだろう。まずはファイヤーマリオに成って攻撃力を上げる事ね。終盤は駒の損得よりスピードよ。Bダッシュよ。

でもあんなにたくさんの攻略本が出ているのに、どうして強い人でさえも未だに迷い悩み考え込んでいるのだろうか。角と銀の科学方程式ではどんな答えが出るのだろうか。恋の魔力のように予期せぬ景色が広がったりするのだろうか。

この海の深い謎は、全てが解き明かされてはいないという事か。ウェットスーツに身を包みボンベを背負って潜ってゆく強い人たち。ようやく浮き輪でプカプカできるようになった私は、次は水中眼鏡というアイテムを手に入れるべく攻略本を進めてゆく。

                    りこは

秘密の書

詰将棋だけじゃなく、寄せ、お前もなのか…。に・が・て💚「挟み撃ちにしたらだいたい詰む」詰みませんけどー?「金銀3枚あったらだいたい詰む」詰みませんけどー!?ぴよ将棋の6枚落ちをずっと練習している。初段までは勝てるけど、初段+となるとほぼ負ける。何よ、プラスって。

寄せの手筋」とやらを買いに行く。何で棋書ってこう真面目な堅物君ばっかりなのよ。チャラ男とか軽めのはいないの?目は文字を追っているけど、その内容を私の頭が理解をしてくれない。純真無垢な少女なのでこれが良いのでは?

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ふりがなが付いているおかげで、歩成の「ふなり」を「不成り」と頭の中で誤変換してしまい、「なぜと金に成らない?そんな時と場合がある?」と10分くらい悩むなどした。あどけない少女なもので。

「たたく」という将棋用語を知る。かつおのたたきが一瞬思い浮かぶ。そりゃ何もしてないのに、いきなり叩かれたんじゃ相手も向かってくるはずね。「しばる」という将棋用語を知る。叩かれて縛られたのでは、こりゃもう虐待では?!と不安になる。頭は少女だけど中身は大人のレディなので、言葉がそのまますんなり入って来ない。その暴力的な響きにいろんな背景が思い浮かばれ、秋の夕暮れのように私の心を切なくさせる。

ま、何にしても、特別な力を手に入れる秘密の書が今、私の手元に💛何ってったって「終盤の指し方」じゃなくて「終盤の勝ち方」よ。これを読み終える頃には、きっと私は6枚落ちの女王ね。待っているがいい、初段+。と、高笑いしながらこども将棋を読む大人。そんな秋の入り口。

                    りこは

めでたしめでたし

どういう訳か、1手詰が解けるようになっている。ちょいちょい間違えてるけど。人間だもの。将棋界では「解ける」ではなく「見える」と言うのか。

これは必ず1手で詰みます。持ち駒があるなら間違いなくそれを打ちます。盤の上に意味のない駒は存在していません。実戦ではそんな親切なヒントが用意されていない。強くなると将棋盤という舞台の上で、スポットライトを浴びたように重要な駒だけが浮かび上がってくるようになるの?どんな能力よ。第6感?

相手の角はいっつも暗闇から突然現れる。本当に同じ舞台の上に居ましたか?カメレオンのように擬態していませんでしたか?私には1㎜も見えませんでしたけどー?!

どんなに舞台の隅っこでも、目立たない役でも、学芸会の劇のように1人1回は出番をあげたいわね。一言だけの台詞だとしても、輝く一瞬を。最後は王も歩も相手の角も登場人物みんな出てきて仲良く手を取り合って歌えたらいいのに。幕が下りるまで。

                    りこは

冷やし中華とラーメン

実家からもらってきた麺をゆがくだけの冷やし中華がもう一食あったはず、と昨日の夕飯にした。具材を用意して麺をゆがく時に気付く。これ、冷やし中華じゃなくてラーメンやないかーい。冷やし中華を2つもらったんじゃなくて、冷やし中華とラーメンをもらっていたようだ。

お皿をしまい丼を用意してスープとお湯を注ぐ。麺をゆがいた後、どこかで冷やし中華気分が残っていたのか、最後にうっかり麺を水でしめてしまう。熱いスープ+冷たい麺=A.ぬるいラーメン

そんな中途半端な将棋だった。思い込みが強く、臨機応変さが足りず、気持ちの切り換えができない3連敗。先生の6枚落ちに1回も勝てない。本気で強くなりたい訳じゃない、楽しく指せればそれでいいと思っていた。頑張っても負けるなら頑張らなければ傷付かないと。でも将棋が楽しい、嬉しいと思えるのは、勝てた時と成長が実感できた時。結局負けてばっかりではちっとも楽しくなんかないのよ。

~6枚落ち 定跡 スマホ検索中~

9筋突破定跡なるものがあった。よし、分かった。できそうな気がする。で、香と飛車が成ってと金をつくったその後は?そこからどうすれば華麗な寄せができるというのか。

前の将棋教室の先生なら丁寧に教えてくれそうだと思う。「今の先生の6枚落ちに勝てないから将棋教えてー」と前の教室に通う。何かおかしくないか?

夜は秋の気配が感じられるようになった。季節は巡っても私の棋力はずっとここに留まり続けている。夏が終わる。1手詰を再開する。

                    りこは

大人の将棋用語

半年ぐらい前に「負けて強くなるんだから。いろんな人と指す!」と先生に諭されてた子と再会する。いつの間にか眼鏡をかけ、背がぐんと伸び、将棋がすんごく強くなっていた。将棋用語がスラスラ出てきて強そうに見えたので、私も覚えてみる。

『尻金=相手の玉の真後ろから金を打つこと』
頭から腹からお尻から…。拷問のようね。

『ふんどしの桂=桂で両取りをかけること』
調べようとして「ふんどし」まで文字を打ったら「ふんどしの巻き方」が出てきたのでちょっと気になった。うろ覚えだと「ふんどしの尻ね」とか訳の分からない事を口走りそうだわ。

『パンツを脱ぐ=穴熊で玉の隣にいる桂が攻めのために跳ねること』
調べようとして「パンツを」まで文字を打ったら「パンツを縫う」が出てきたのでちょっと気になった。プロの将棋中継とかで「今、パンツを脱ぎましたね」とかって解説されるのだろうか。

『相=お互いが同じ戦型や囲いの状態であること』
プールで歩いてる人は「相有酸素運動」ね。乳ガン検診来てる人は「相マンモグラフィー」ね。あら、あなたも?お互い頑張りましょ。って心の中で相励ましね。

お盆が過ぎ、台風が去った。遊び呆けていた夏休みが終わってしまう。残りわずか、夏の思い出王手をかけるのよ。

                    りこは

自習時間

将棋教室へ行く。先生が他の子と指している間、勉強熱心で真面目な私は新たなチャレンジをする。
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4段タワーまでは作れた事があったけど、やっと5段ができた。もしや私、ある意味将棋5段では?!

そうこうしていると、いつかの初心者兄弟達が来たので、お兄ちゃんと指す。「はっ、ここで金を打たれたら詰みでは?負けたか…」という局面を見逃してくれたので、何とか勝てた。日頃の行い大事ね。

弟君と指す。二歩を4回打ってくる程果敢に攻めてくる。「かわええなぁ」と思っていると、角をタダで取られる。あ"〰〰〰!それでも何とか勝てた。危なかった。日頃の行い、ほんと大事ね。

最後に打ち上げ花火を見逃した皆さんへ。
ひゅ〰〰〰〰〰〰〰〰    どーん!!!
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                    りこは

隣の部屋の怪

ぴよ将棋はピヨ太(8級)に毎日相手してもらってる。勝ったり負けたり負けたり負けたり負けたりしてる。ピヨ太の飛車や角がいつも突然現れて、私の大事な駒をさらってゆく。どこから来たのよ。びっくりこいたわよ。「待った待った待った待った!」って隣の部屋から突然聞こえてきたら、それはたぶんピヨ太の仕業で間違いないわね。

今になって前の将棋の先生が言っていた、いろんな説明の意味がようやく分かってきた。時差が半年ぐらいあったわ。私は言葉では頭に入らないようだ。体で覚えないとダメみたいね。

いつの間にか5手ぐらいなら脳内で駒が動かせるようになっている。「こうなって、こうなって、こうなって…。よし、いける!」と自信満々で指すと、2手目が想像と全然違う手の事が多々ある。「あれっ?!」って隣の部屋から突然聞こえてきたら、それはたぶんピヨ太の仕業で間違いないわね。

将棋も恋も人生も台本通りにいかないものね。焦る時期を通り越したら諦めになる。この前将棋の先生に「粘りがない」と言われたので、今日はオクラを食べました。納豆も買ってきた。私たちの夏はまだ始まったばかりよ。粘っていこー!

                    りこは