将棋指しとほうき星

「永遠の初級」の称号は私のものよ

将棋とドッジボール

私は球技が苦手だった。バレーはサーブが入らない。バスケはフリースローが届かない。ドッジは恐怖でしかなかった。

将棋はドッジボールに似ている。どんなボールがどこに飛んで来るのかまだ全然わからないから、その都度ひたすら受ける。全力で逃げる。ヒーヒー言ってる。容赦ないわ。

「危なーい!」と身代わりでボールに当たってくれる飛車や角がいる一方で、わざわざボールが飛んでくる方へ逃げて無駄にアウトになる私がいる。見ている方と全然違う方へボールを投げてくる演技派がいる一方で、油断してボケッとしてて当たってしまう私がいる。ドッジ苦手そうな弱点を見極め、狙い撃ちしてくる計算派がいる一方で、ひょろっひょろのボールをやみくもに投げる私がいる。

ピヨに毎日負けているだけあって「あ、何か負けそう」っていうのは最近ちょっと分かってきた。逃げ道を1つ1つ塞がれ追いつめられてゆく。怖いっ。

涼しい顔でおっそろしいボールを投げ合っている。そこには観察力や瞬発力も必要な気がする。そんな戦いの場だけど、将棋男子は何であんなに楽しそうなんだろう。将棋の海はどこまでも深く、謎めいた色に満ちている。と、浮き輪でプカプカ浮きながら考える私なのであった。

                    りこは