将棋指しとほうき星

「永遠の初級」の称号は私のものよ

美濃囲いのくずしかた

「私のこの美しい恋の美濃囲いが崩せるかしら?」と一生懸命ペシペシやって完成させてたのに、「カレーの作り方」より事細かに崩し方が載っているではないか。囲いが崩れてゆくのは、花が散っていくのを見るように切ない。私には何もできないのよ。

カニ囲いと美濃囲いしか覚えていない私にとって、「ちょっと、こんなに分かりやすく急所を説明するのやめてもらえます?」案件だけど、矢倉や穴熊も載っているという事は、他の囲いも全部崩し方が解明されているという事なのか。それならフェアね。私の対局相手が「美濃囲いの崩し方を知りませんよーに!!」と祈るだけだわ。

と、同時に、私が相手の囲いの崩し方を覚えている必要がある。という事ね。スタンダードなカレーだけならまだしも「今日はグリーンカレーにしましょう」「ナン焼いちゃう?ナン」「本格的にスパイスから調合してみる」とか、いろんなバージョンがあるではないか。取る、受ける、逃げる、どの駒がどう動いてきても対処できるよう、全てのレシピが頭に入っているというのか。将棋指し、グルメなの?

美濃囲いにも急所がある。それを私がちゃんと知っておいてあげられているか。欠点を認めてあげられているか。「オッケー、7一は私が守る」と。そんな信頼関係が結べたら、秋のように少しずつ、愛も将棋も深まってゆけるのだろうな、と思う。

                    りこは